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Rを通じて統計学を学ぶ備忘録ブログ

SPSSからRに移行したい私のような人向けのR解説ブログ兼学習用備忘録。

大学の時にもっと勉強しておけばよかったマーケティング・リサーチ〜その5〜

大学の時にもっと勉強しておけばよかったマーケティング・リサーチも5話になりました。これまでは、データを分析する前の段階の話が中心でしたが、今回からはデータの分析が中心的な話題となります。まず、マーケティング・リサーチで利用出来る変数をおさらいし、マーケティング・リサーチで代表的な手法である「市場反応分析」から見ていきましょう。今回は概念や言葉の説明、数学的な背景を主に説明していきます。もちろん市場反応分析をRでもやりますが、それは第6話にまわします。基本的な統計分析の手法の数学的な背景は説明しているので、説明しているものについては説明はしません。新しく取り上げるものに限ります。また、右上の検索窓からキーワードを入れて検索していただければ幸いです。

利用出来るデータ(変数)

サンプリングしてデータを入手することもあれば、社内などの二次データ、センサスなども利用することもあると思います。一体どうのような変数が利用可能なのか、さらっとおさらいです。最近よく聞くPOSデータなんかは利用出来る社内二次データですね。

連続変数

様々なものがありますが、売上金額、商品の売上個数、利益、などは代表的な連続変数ですね。非負の変数などは対数変換することで、正負の変数に変換することができます。

離散変数

購買の有無、来店意向、ブランドの認知なんかは離散変数かと思います。購買頻度や購買個数などは0以上の値しかとらないので、ポアソン分布のような確率分布を使ったモデルを使いますし、0,1などの二値変数であれば、ロジットモデルやプロビットモデルなどで分析します。

市場反応分析

市場反応分析は、商品・サービスを市場に投入してマーケティング活動がうまくいっているかどうかを調整することを目的に行われる分析のこと。統計学っぽく言うと、価格や広告などの各種の戦略的な説明変数と目的変数との関係を分析し、最適化するために行う分析手法のこと。 具体的には、コンビニの売り上げに影響を与える要因は、商品価格、属性、広告、SP(特別陳列、チラシ、サンプリング配布など)などがあり、競合商品の影響もあれば、来店客数、曜日、天気、季節なども売り上げに影響する要因です。このように数ある要因から売る上げやシェアに与える変数を評価することが、市場反応分析です。 簡単な数式で表すと、ある日tにおいて、売り上げ個数が、価格、店頭販促、広告によって規定されるのであれば、以下のような売り上げモデルを考えることができます。モデルを考えることができたならば、回帰分析などで、売り上げ予測ができますし、より具体的に書くと、ある日tと人物iによって、ブランド選択が価格、店頭販促、広告によって規定されるのであれば以下のようなブランド選択(離散選択)モデルを考えることができます。 daum_equation_1484360420947

相関分析と散布図

やはり最初にすべきは、相関分析と散布図を見ることだと考えています。相関係数を見れば、影響度合いを把握できますし、散布図を見ることで、どういった形で相関しているのかを確認できます。「相関関係」とは、片方の変数が変化すれば、対の変数も変化するという、2つの変数の「関連性」を調べることができるのであって、「因果関係」がわかるわけではないので、注意が必要です。因果関係の場合は、片方の変数が原因で、対の変数の結果が決定するという関係のことです。もうひとつ間違いやすいのが、「疑似相関」です。xとyの2変数間に関連があるが、zを追加してみると、関連がなくなる状態をいいます。

擬似相関

つまりは、裏で悪さする変数zがいるために、このようなことが起こります。背景としては、zという共通要因(xとyへの)がxとyに影響を与えることによって、xとyが疑似的な関連をしてしまうことが原因です。疑似相関が起こっているときは、zのような共通要因を追加することで、xとyの関係を消すことができます。 20150808230333 例えばアンケートをおこなって、その結果、収入と血圧に強い相関があったとします。じゃあ、血圧をあげたら、収入があがるのか、というとそんな馬鹿な話はありません。よく調べてみると、年齢が高くなるにつれ血圧も自然と高くなり、収入も年齢とともにもあがっていることがわかりました。結論としては、収入と血圧に相関関係があったように見えただけで、年齢と収入にこそ、相関関係があったのです。

このような感じで、相関がある変数や仮説に対して必要な変数を、回帰分析のモデルに投入して市場反応分析を行います。説明変数が有意と判断されれば、その変数は目的変数に影響を与えていると考えることができます。重回帰分析では、「媒介関係」も除することができるので、階層的に重回帰モデルを組み上げて、より精緻に変数の影響を測定することもできます。「媒介関係」とは、xが原因変数、yが結果変数とした時に、画像左図のようなに2変数の場合に直接的な関連があるように見えますが、そこにzを追加してみると、xとyの関係がなくなるような状態=媒介関係があるといいます。zを導入することで、本来の変数間の関係(x→z→y)が明らかとなり、xとyには直接的な関係がないことがわかります。

[caption id=“attachment_604” align=“alignnone” width=“870”]媒介関係 媒介関係[/caption]

価格弾力性

市場反応分析の基本的なモデル、商品価格が売上数に与える影響を測る際に登場する概念、価格弾力性(price elasticity)について数学的な背景含めて見ていきます。yのxに対する価格弾力性(=xに対するyなのでY ~ X)は以下のように定義されます。 daum_equation_1484360501537 この価格弾力性とは「価格が1%上昇した時に、売上数が◯%変化する量のことで、測定単位に依存しない」という特徴があります。価格弾力性が「1よりも小さい場合=非弾力的」で「1よりも大きい場合=弾力的」、「1と等しい場合=中立的」と判断します。価格弾力性が大きければ大きいほど、価格戦略は有効とされます。

価格弾力性の例

先月:ブランドAの商品価格が10000円、数量は200単位 今月:ブランドAの商品価格が9000円、数量は240単位

daum_equation_1484360535732 以上より、価格の1%の変化によって、売上は2%減(マイナス)することがわかります。なので、価格戦略は有効ではないと検討することができます。

交差価格弾力性

次は、「交差価格弾力性(Cross elasticity)」です。これは、競合している商品やブランドの関係性を表しているもので、あるブランドAの「価格」があるブランドBの「売上」に与える影響を見ています。 daum_equation_1484360561927 そして、ブランドAの価格変化が競合ブランドBの売上に与える影響が逆の影響よりも大きいような以下の関係の場合、AはBに対して「攻撃性」を持ち、BはAに対して「脆弱性」を持つと表現されます。 daum_equation_1484360596255

価格弾力性と交差価格弾力性の数学的背景

yのxに対する弾力性は以下のように定義されます。 daum_equation_1484360620268 そして、自然対数の微分は、おさらいする必要もないかもしれませんが、以下の通りです。 daum_equation_1484360637725 自然対数の微分の式の左右を入れ替えると、 daum_equation_1484360673872 となるので、xをyに置き換えても、文字が入れ替わった同じ式なので、それを「yのxに対する弾力性」の式に代入すると、 daum_equation_1484361604815 βは以下の1次式と整合的なわけです。 daum_equation_1484361315672 「βは以下の1次式と整合的なわけです。」と言われてもイマイチ理解が進まない方は、以下もどうぞ。まず、おさらいで合成関数の微分を確認しておきましょう。 daum_equation_1484361336782 これが、合成関数の微分の基本式なので、さきほどの1次式をxで微分すると、左辺は daum_equation_1484361350915 となります。また、1次式の右辺もxで微分すると、 daum_equation_1484361365747 右辺はこのようになり、それを1次式に戻すと、 daum_equation_1484361381308 となり、βについて解くと、 daum_equation_1484361399485 そして、整理。 daum_equation_1484361416591 さらに整理するとβは整合的なわけです。 daum_equation_1484361432125 つまり、dxをxからx'へ変化させた時の変化量(dyも同様)として考えるということは、以下を意味します。 daum_equation_1484361457112これは、xとyの相対的な変化(%変化)を意味しているので、これらの比で定義されているβは弾力性と言えるです。また、そのβを以下のように定義すると、 daum_equation_1484361495230 となります。重回帰分析では、以下のように変数を定義するので、

Y1=ブランド1の売上個数(unit.sales.Y1) Y2=ブランド2の売上個数(unit.sales.Y2) X1=ブランド1の価格(price.X1) X2=ブランド2の価格(price.X2)

そして、この変数を、Y1 ~ β1X1 + β2X2 + εとモデルを組み立てたので、 daum_equation_1484361528443 と解釈できます。変化は「パーセント変化」です。

今回は以上でおしまい。次はRを使って、市場反応分析を行っていきます。