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Rを通じて統計学を学ぶ備忘録ブログ

SPSSからRに移行したい私のような人向けのR解説ブログ兼学習用備忘録。

大学の時の備忘録〜社会学〜

以下は備忘録です。大学院の時に社会心理学を学んでおり、そのときの講義、参考書、文献のメモです。そのため、申し訳ありませんが、引用元の明記および引用範囲が明確ではありません。間違っている場合も多いにありえます。参考にされた方はご了承ください。

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社会学とは何か

人間と人間が関わるということこそ、社会の本質であり、最も基本的な社会の単位

 

理論社会学

宗教集団、企業、学校、暴力団はそれぞれ独特の目的と行動倫理を持つ

構造:リーダー-&フォロワー 集団成員の共通目標 規律

 

その他:人間の行動一般(行為論)、人間と人間の相互作用を論じる(相互作用論)、社会の全体をひとまとまりにする(全体社会論)、社会の歴史的変化を論じた(社会変動論)

 

●「近代」という言葉

今という時代を、今という瞬間ではなく、ある程度、時間的な厚みをもって捉えようとするときに使う。それ以前は、前近代を使う

近代の目安は、精神史的な近代と社会史的な近代の2つに分けられる

・精神史的な近代

人間の物の見方や考え方が近代になる目安は、ルネサンス宗教改革(15-16世紀頃)

・社会史的な近代

社会の仕組みが近代的になる目安は、産業革命(1837)とフランス革命(1787)(18世紀頃)

社会学では、現代は近代を支えてきた原理(資本主義、国民国家、科学技術など)が行き詰まり、未来の新しい原理が登場する過渡期とも考える。

 

●無為も行為である

人間が何かをすることを「行為」と呼ぶ。人間のやることなすことのうち、外的に観察でき、データ化できる部分を「行動」と呼び、対象をそれに限定する。

行動を何がしの刺激に対する反応として捉え、「刺激→反応」という図式で理解する。

人間は刺激に対して、穂蘊奥的に行動するのではなく、刺激を意味づけ、それにしたがって反応する。「刺激→意味づけ→反応」という構造。

例)普通なら何か反応する際に、何か考えがあって何もしない。この意図された無為(行為)は社会学では、「十分に反応がある行為」だが、心理学では、「外的に観察できる行為」は何もないとする。これが「行為」と「行動」の概念の違いである。

行為の決定的な特徴は「意味づけ」ということである。社会学では、明確に意味づけられた行為に照準に焦点を合わせる。

 

・行為の構造

行為の原動力<欲求>があり、その場に相応しく加工された<目的>が設定される。しかし、目的を達成するためには、見合った<資源>がなければいけない。

単純に行為が行われているが、実は複雑な構成要素が結合している。

 

●行為には2種類ある

行為は目的を達成するための手段であり、「行為―手段」という関係がある。これを「目的論的構造」と呼ぶ。行為は、自己充足的行為と手段的行為に分けられる。

・自己充足的行為

ある行為をすること自体が、その行為の目的となっている場合

・手段的行為

あくまで行為とは別の目的を達成するための手段として、行為が行われる場合

→自己充足的行為は、その行為自体が<快楽>となり、手段的行為は<苦痛>に耐えながら行われる。

例)携帯電話は、「話す」という行為を、手段的行為から自己充足的行為へと変化させた

 

●連鎖型手段的行為

農業ができるのは人間だけ。連鎖型手段的行為へ人間が飛躍したのは、農業革命から。

狩猟段階では経験したことのない長いタイムラグに出会わなければいけない。

例)収穫した穀物を保存し、次のシーズンの収穫まで持つように食べなければいけない。また、一定量のモミは残し、時期が来れば田畑を整地して、種や苗を蒔き、水をやり、害虫を退治し、ようやく収穫できる。これが文明の原点である。つまり、連鎖型手段的行為。

 

一朝一夕にでは達成できない目的の設定、目的を達成するための周到な手段的行為の連結、即時的な満足の断念と、欲求充足の遅延、目的達成のための努力と忍耐を惜しまない背勝つ態度。

 

・連鎖型手段的行為の問題点

①中間目標を達成するための手段的行為に没頭するあまり、最終目標を忘却し、あたかも中間目標が最終目標であったと勘違いすること。手段の自己目的化と呼ぶ。

例)大学入試に合格した途端、人生の究極目標に到達したかのように勉強しなくなる。

②遠大な目的を設定すると、人生そのものが手段と化してしまって、目的のために生きていることの豊かさが奪われてしまう。

③「目的の奴隷」タイプ。自分自身もそうなのだから、周囲の人間たちも目的に奉仕する道具とみなしがちになる。金銭亡者、教育ママ、立身出世者、狂信家。

 

●文明の逆説

文明の高度化は、生活の利便性を高める。多様な欲求に即自的な満足を与える機会を増大する。反対に、過剰なストレス、欲求耐性の極度の低下が起こる。禁欲主義から快楽主義へ。両者は共振して、耐性が欠け、大きなストレスを抱えた人間を作り出す。

 

●行為の分類

マルクス・ウェバーが考えた「行為の4類型」。①から④へ進化すると考えた。

『非合理的行為』

①伝統的行為:朝起きて、歯を磨くという習慣的行為。

②感情的行為:感情が引き金となり、怒ったり、泣いたりする行為。

 

『合理的行為』

③価値合理的行為:自分が信じる宗教的、倫理的、美的な価値観の命じる所に従い、目前の自体に働きかける行為。

④目的合理的行為:自分の価値観に立脚しながらも、最大限その価値観を実現するために、何をすべきかを考え、目的を設定し、それを達成する複数の手段を比較検討し、自分の行為によって生じる予期せざる結果をも可能な限り明確した上で行為すること。

 

●欲求のピラミッド

『先天的欲求』

人間の生まれながらの欲求。呼吸、排泄、睡眠、食欲など。

 

『後天的欲求』

社会生活の中で学習する欲求。金銭、物質など。

 

欲求論「欲求5階層説」 心理学者、A・マズロー

人間の欲求は地層のように、5つの階層をなしており、下位の欲求が満たされると、順次、その上位の欲求が生じてくるというもの。

生理的欲求→安全欲求→集団帰属・愛情欲求→自尊欲求→自己実現欲求

   ( 身体的欲求 )→( 社会的欲求 )→( 精神的欲求 )

 

自己実現欲求:自分とは何か、人生とは何かということを考えるようになる

②自尊欲求:人に尊敬され、自尊心を満たしたい欲

③集団帰属・愛情欲求:人から愛着を持たれたいと欲(孤独になりたくない)

④安全欲求:安全で安定した環境で生きようとする

⑤生理的欲求:呼吸、排泄、睡眠、性、食など

 

●対自欲求

社会学者、見田宗介は「対自欲求」という概念を構築。マズローと重複する部分は多い。

意味は、「自分に対する欲求」=肯定的自己確認の欲求、つまり自分自身を意味や価値のある存在として位置づけたいという欲求。対自欲求が人間に固有かつ普遍的なものは、人間だけが「対自存在」、つまり自己意識を持つ存在だからである。

自己意識とは、「自分を見る自分(自分を評価する自分)」と「自分に見られる自分(自分から評価する自分)」というように「2人の自分」がいる。

 

・対自欲求の満たし方

自分を意味や価値の有る存在と思い込む

①創造:何かの仕事をして、それが自分に有意義と感じられ、周囲の人からも賞賛されれば、自分を意味のある存在と見なせる。

②愛:他人から「あなたは欠けがいのない価値がある人だ」と言われれば肯定できる。

③統合:自分を評価するには、一定のまとまった「自分」のイメージがなければいけいない。仕事や人間関係から得られる肯定的な自己確認を積み上げ、その全体を顧みるとき、買われ浮ことのない自分が存在するとき、ゆるぎない自己肯定に達する。

 

●満足の公式

ものすごくお腹がすいている時に、パンを食べることは大変値打ちが有るが、二口目からパンの満足感は減っていく。つまり、同じことを続けると「満足感」が減じていく。これを、「効用逓減」という。欲求には効用逓減に従う「身体的欲求」と従わない「社会的欲求」に分かれる。

 

満足の公式 「満足度=充足量÷欲求量」

満足度は、充足量と欲求量の相対関係で決まる。

→効用逓減に従う欲求、欲求量に限界があり、充足量がそこに達すると満足度が飽和する。

名誉欲や金銭欲のような効用逓減に従わない欲は、充足量が多くなっても、それに比例して欲求量も大きくなるので、いつまでたっても満足が得られない。

 

●準拠集団

「友達」や「隣の奥さん」や「両親」みたいに、だれかいにとって欲求のモデルになる人のことを「準拠集団」と呼ぶ。準拠集団は他人と比較するための目安になる。人間は、自分でオリジナルな目安を持っているのではなく、自分と比較することで、比較する。他人が自分よりも、幸福だと自分を不幸と感じてしまうここと「相対的不満(相対的剥奪)」と呼ぶ。

例)レベルの高い大学に合格した矢先、レベルの同じ友達が、更に高いレベルの大学に合格していたら、気分は滅入る。

 

・準拠集団の属性

準拠集団として選ぶ時、自分の所属する集団(友人、家族、同級生、同僚、近隣集団など)、または自分が属する属性(社会階層、年齢、性、職業、学歴など)が多い。これを「比較の準拠集団」。

 

・同調の準拠集団

人は自分の意見や態度を自分で主体的に考えて決めるのではなく、無意識のうちに準拠集団に同調することが多い。例えば、選挙時のマスメディアの報道やコメンテーターを自分たちのスタンスにする。これを「同調の準拠集団」と呼ぶ。

 

●資源の4類型

女性にモテようとすると「魅力」が必要であるし、お金を借りようとすると「信用」がいる。こうした行為を可能にするいっさいのものを「資源」と呼ぶ。つまり、資源が行為の可能性の範囲を決定する。

①物質的資源:自然界のあらゆるもの原料、道具や機械、貨幣や資本も。

②人的能力資源:身体・知的能力、経験、知識、忍耐力、技能など。

③人的関係資源:権力、権威、地位、名声、コネ、対人的魅力、動員力など。

④情報資源:書籍、新聞、テレビ、映画、国旗などの象徴物も。

例)本を買う→書店(人的関係資源)→本(情報資源)→貨幣(物質的資源)→読解能力(人的能力資源)

 

●社会規範

社会には、人々がそれに従わなければいけない無数のルールがある。これを「社会規範」と呼ぶ。

社会規範は欲求や目的に制約を設け、行為をコントロールすることによって、社会に秩序をもたらす。「習慣」「習律(マナー)」「法」などに分けられる。また、「習慣」→「習律」→「慣習法」→「国家法」というように進化する。

 

・社会規範のメリット

社会規範は個々人の行為を拘束することで、社会秩序を安定させ、結果的に人間に利益をもたらす。いっぽう、社会規範がなければ、行為が制限されなくなり、人間は途方に暮れてしまう。

言い換えると、「これはこうしなければいけない」というルールがあることで、自分で行為のパターンを考えなくてすむ。これを社会規範の「負担免除」と呼ぶ。

 

●社会化

人が所属する社会や集団、またはこれから所属する社会や集団に共有されている礼儀作法を学習し、自分のものにしていく過程のことである。第一次社会化と第二次社会化の段階を踏む。かくして、社会化は、人間を社会や集団の一員として形成し、社会や集団のために新しいメンバーを補給し、社会や集団に秩序をもたらす決定的なプロセスである。

 

・第一次社会化

生まれて成長する過程で、社会規範、言語、生活習慣など基本的なことを学ぶ。その社会で、男あるいは女にふさわしい行動パターンと考えられているものをジェンダーと呼ぶ。

 

・第二次社会化

ある集団に固有の共通な規範や価値観や行動パターンを学習すること。貴族社会、会社、宗教団体、政党、軍隊など。

 

・予期的社会化

将来所属したいとか、あたかも所属しているかのような空想を抱いている場合には、その集団が準拠集団となり、見聞した事実に基づいて、または空想により、その集団の作法や気風に類似したもの身につけること。

 

・強制的社会化

正負の制裁を与えて、社会化を強制する場合。怒り、ほめる、おだてるなどの行動を通じて行なわれる。第一次社会化において、挨拶をするなどのしつけは強制的社会化の側面を持つ。第二次社会化においては、宗教団体のイニシエーションや軍隊の入隊シゴキがこれにあたる。

 

・自発的社会化

無意識、または模倣により積極的に行なわれる社会化のことを言う。言語の習得は、自発的社会化の代表例とも言える。

 

アノミー

 

非行、犯罪、売春、自殺といった逸脱行為に関する研究は「社会病理学」と呼ばれる。

この領域で最も汎用性の高い概念がE・デュルケムの「アノミー(anomy)」

アノミー:社会規範が人間の行為をコントロールできない状態のこと。

・個人的な事情

個人が、第一次社会化のときに、親にしつけられなったことなどが原因で発生する。

 

・社会的な事情

社会変動(経済成長や都市化)により、社会秩序が揺らぐとそれまでの社会規範は信用を失い、人の行為をコントロールする力を失う。

 

→デュルケムは「資本主義」がアノミーを増大させると指摘。

資本主義は、利益拡大のために、消費者の購買意欲を絶えず刺激する性質を持つ。その結果、欲求は無限大に万人に平等に膨らむが、階級社会のため、金銭は不平等に分配される。多くの人は階級が低いので、慢性的な欲求不満になることで、非合法的な方法で欲求を充足させようとする。これが「アノミー的犯罪」である。

反対に、非合法的な手段をとらない人は、自己破産や自殺などを行う。これを「アノミー的自殺」と呼ぶ。

 

●パターン変数

 

価値規範という言葉があるように、価値観と規範は密接な関係にある。

デュルケムやT・パーソンズは価値観が社会的に共有されることが重要であると指摘した。価値観の文化的多様性や歴史的推移を考えるための素材として、「パターン変数」という概念をパーソンズが構築。

 

・パターン変数とは

対になる両立しがたい5対の価値パターンのこと。

①感情性⇔感情中立性

即時的な満足を求める衝動に寛容な価値観という意味の快楽主義⇔即時的な満足よりも、用意周到な計画的行為を重んじる価値観という禁欲主義。

②自己志向⇔集合体志向:個人主義集団主義

③個別主義⇔普遍主義

物事を主観的な基準で判断することを良しとする価値観⇔普遍性を持った基準で判断するべきという価値観

④属性本位⇔業績本位

他者を評価する際、家柄、人種、性、年齢などの属性で評価する立場⇔業績、実力、能力を重視する立場

⑤限定性⇔無限性

関心を限定して他社と関わる⇔全体として関わりを持つ

 

→近代社会における価値観推移は、感情性→感情中立性、集合体志向→自己志向、個別主義→普遍主義、属性本位→業績本位、無限定性→限定性である

 

個人主義の5要素

個人主義現代社会の支配的価値観であるが、明確にはされていない。異質な要素からなる個人主義の複合的要素の分解を試みたS・ルークス。

 

①人間の尊厳

人間はみな平等に無条件で、かけがえのない尊厳を持つ。デュルケムは「人格崇拝」と呼んだ。近代社会において、社会的分業が発達し、人間の異質性が増大し、社会的な価値観が成立しにくくなっている。万人が認める価値観がなければ社会は成立しない。「人間」を究極の価値とする価値観、つまり人格崇拝が生まれた。

 

②自律性

人間はみな自分で考えて、決断しなければいけない。その結果、自分で責任を負わなければいけない。また、それは人間にその能力があるということである。

 

③プライバシー

他人が侵入できない領域があり、他人にさらす必要のないこと。相互に尊重しなければいけない価値観。

 

④個性

人間はみな代替不可能な個性を持っており、互いにそれを尊重しなければいけない価値観である。G・ジンメルは、社会的分業が発展すると、多種多様な人間が交流するため、様々なタイプのかけあわせが生じ、個性の発達を促す。

 

⑤人間という抽象概念

本当は人間などいない。いるのは具体的な「個人」であって、個体間の違いは大きく、どこに共通性があるのだろうか。過去においては、「王様」「貴族」「百姓」「職人」しかいなかった。

 

●パーソナリティ

欲求をもち、目的を立て、資源を使い、社会的規範や価値観によってコントロールされながら行為すること。

 

パーソナリティの形成は、第一次社会化により形成される。これは一定のメニューであるため、似たような部分が出てくる。社会の共通した性格特徴は「社会的性格」と呼ぶ。フランクフルト学派はドイツ人の「権威主義的パーソナリティ」がナチズムの温床になったと分析。権威主義的パーソナリティとは、権威あるものには盲目的に服従し、弱者には絶対的服従を要求する性格である。

 

●地位と役割

AがBに何か行為を働きかけ、それに応じてBがAに行為を働きかける関係のことを、「相互行為、相互作用」と呼ぶ。また、人に何らかの形で働きかける行為を「社会的行為」と呼ぶ。無数の社会的行為や相互作用の中で暮らす人間の社会的行為や相互作用を研究することを「相互作用論」と呼ぶ。

 

▲地位と役割

会社、家族、自治会などの集団の中で、その人が占めているポジションを「地位」と呼ぶ。その地位において、その人が行なう行為の内容を「役割」と呼ぶ。

世の中は複数の地位で構造化された無数の場によって成り立っており、人間の相互作用は、ほとんどのいつでもその場に固有の地位構造を踏まえて展開していく。

場が転換するたびに、地位を入れ替えながら、人は社会生活を送っているわけである。

その中で、相手の期待を先取りしながら、行為を行なう。つまり、他者に役割の遂行を期待することを「役割期待」とよび、他者に対する自分の期待と、自分に対する他者の期待とは、大抵上手くかみ合うようになっているので、これを「役割期待の相補性」という。

 

●2種類の分類法

①構造的役割

その地位にある人への役割期待が社会全体におおよそ共有されている場合の役割。

職業や職場における地位、家庭における地位など。

②対人的役割

社会的な相互作用のなかで行為者が意図的にあるいは、自然発生的に作り上げてゆく役割関係のこと。

いじめっ子といじめられっ子、リーダー格とムードメーカなど。

 

▲時と場合により変わる役割

①恒常的役割

職業のように常時その地位にあるもの。

②一般的役割

電車の乗客のように一時的にその地位につくこと。

 

●役割葛藤

人間は、幾つ者役割を期待されるわけであるが、両立困難あるいは不可能な場合がある。

大学教授は、学生に授業をし、成績をつけ、論文を書き、教授会に出席するというように。このような状態を「役割葛藤」という。これに対しては、人間は時間を友好的に利用する、エネルギーを優先的に分配するなどして対処する。

 

●役割演技と印象操作

対自欲求を満たすには、役割の遂行レベルを上げようと努力するが、無意識的に行なうものがある。これをE・ゴッフマンは、相手の顔色をうかがいながら、自分を実際以上の存在として呈示し、よりすぐれたものとして印象付けようとすること。これを「自己呈示、印象操作」という。具体的には、それとなくちらつかせる教養、財産、家柄、有名な知人(自分は、本当はこんなものじゃないと印象付ける)など。

 

●ダブル・コンティジェンシー

いくつかなる場合でも無数の行為の選択肢を持っている。その役割のタガが外れるとどうなるのか。そうなると人間は、他者が何をやるのかわからず、相手もまた同様で、たがいに大きな不安に陥れられる。こんな状態のことをT・パーソンズは「ダブル・コンティジェンシー」と呼ぶ。役割と言うのはダブル・コンティジェンシーから生じる不安から救っているわけであり、これをN・ルーマンは「複雑性の縮減」と表現した。

 

●自我構造

パーソナリティの核となっている部分を「自我」とよぶ。社会学では、まず他者との相互作用があり、その中で自我が形成される。

①鏡に映った自己 C・H・クーリー

人間は怒られたり、泣いたり、ほめたりされることによって、自分の行為が他者にいかに評価されるかを先取りして創造し、それに基づいて自分の行為をコントロールする。

つまり、他者の評価基準を自分の内部に取り込み、それをもとにして自分の行為を見るようになる。自己意識は、他人の目を鏡にして自分を映し出すことから生じるというわけである。G・H・ミードは更に詳細に分析した。子供は先ず親や兄弟といった「重要な他者」との直接的な相互作用を通じて、自分の行為に対する他者の反応を先取りすることを学ぶ。そして「一般化された他者」つまり、直接的な相互作用を超えたところにある、集団や社会全体の、自分の行為に対する反応を先取りして行為を出来るようになる。こうして、他者の視点を吸収し、他者から自分に期待されることを身に付けていく過程を「役割取得」と呼ぶ。また役割取得を通じて、他者の視点でコントロールしつつ行為する自我が生まれるが、これを「客我」という。人間の内部には客我には納まらない部分があり、客我に反発し、働きかけて変化を迫る力のことを、「主我」と呼んだ。

 

●役割距離

自我が相互作用の中で形成されると言うことは、言い換えれば、自我は「社会化の産物」である。社会規範を取り込み、それを核にして自我が出来上がる。

では、社会規範は皆同じものなので、「みな同じロボットのようになる」という批判がR・ダーレンドルフによりされる。社会学は「社会化」に重きを置くばかりに人間が100%社会化された存在であるかのように描くことを「ホモ・ソシオロジクス」と呼ぶ。

 

▲役割距離 E・ゴッフマン

「本当の自分はこんなものではない」という部分を人間は見せたがる。このように人間は役割を遂行する自我のほかに、心のどこかに、「本当の自己」を担保しつつ、何かあれば、それを持ち出そうとする。社会的自我と「本当の自己」との距離を「役割距離」という。つまり、人間は対自欲求の満足度を高め、精神衛生を維持するために、役割距離を操作しているのだ。

 

●予言の自己成就とラベリング

「人が○○と思って行動したため、○○になってしまった」という現象をマートンは「予言の自己成就」と呼ぶ。例として、非行歴がある少年は、非行歴あるとされることで、闇市場にしか就職ができなくなる。つまり、「こいつは犯罪傾向がある」というレッテルを市場がはることで、少年は犯罪者にならざるをおえない。

このようにして、個人や集団にレテッルをはることをラベリングといい、ネガティブなラベルなことをスティグマとよぶ。スティグマを持つ人間は、それを核にアイデンティティーを構成する。これを否定的アイデンティティーの引き受けと呼ぶ。反対に、良いラベリングは、良い結果を生む。これを「ピグマリオン効果」という。例として、成績の悪い生徒に、「出来る子だから頑張れ」と言い続けるなどがそうである。

 

●社会的交換

相互作用を何かと何かの交換としてみる立場を交換理論という。物々交換、貨幣と商品、賃金と労働などの経済交換である。人間のこうした行為を全て社会的交換という。交換の基本は、ギブアンドテイクであり、これを互酬性とよび、普遍的な公正の原理である。ギブされてばかりだと、一種の負い目を感じ、支配と服従の関係になる。

交換のタイプは2種類あり、商品の売買のようにギブした相手から直接テイクする限定交換と、まわりまわってギブしたのとは別のところこらテイクすることを一般交換という。

 

●集団と相互作用

 

人が他者と、それ以外の人間とは質的に違う相互作用を継続的におこない、そうした相互作用の範囲が特定のメンバーに限られているとき、その複数のメンバーのつながりを集団という。その集団の中で、フェイストゥフェイスの場合、直接的相互作用といい、上位の命令や指令などで動かされることを間接的相互作用という。

 

●個人・集団・社会

▲個人と集団

個人に対する集団の意義は、「一人では達成できない目標」を複数で行なう点にある。その中では、仕事を分業する必要があり、水平的分業と垂直的分業に分かれる。水平的分業は、役割を分担することであり、垂直的分業は上下関係のことである。このように分業が進み、規則が立てられることを組織化という。

もうひとつの集団の意義を、マズローは、「社会的・情緒的な欲求の充足」と考えた。つまり、集団の形成や集団への所属は、手段的行為でもあるが、自己充足的行為でもありうる。目的が明確でない集団は、後者の側面が強い。

 

▲社会と集団

社会に対する意義は、社会に必要なことを集団が分担して行なう点にある。企業は消費財、学校は教育、病院は医療など。これを社会的分業とよぶ。集団の価値・規範は社会全体のそれに同調的な場合、個人が集団に所属することを通して、社会全体に対する個人の同調が培われる。こうして、社会は集団と言う存在を核にして、極めて錯綜的な相互作用がなされる場である。

 

●未組織集合体

▲集まり

駅の待合、デパートのフロア、電車の中など、同じ場所にたまたま居合わせること。偶然性、相互作用性の密度、目的の明確さが集団とは異なる。このような場面では、互いに無関心なのが基本的な対人モードである。もし、他人にものすごく関心があっても、関心がないように振舞うことが普通で、E・ゴッフマンはこれを儀礼的無関心とよぶ。

 

▲群集

野球場の観客、コンサートの客、大学の講義室など、ある程度の共通した目的や関心を持って、同じ場所、高密度状態でいる。メンバーは偶然性が高く、相互作用は非継続的。

フランス革命ベルリンの壁のように歴史を動かす原動力になるときもある。

 

▲公衆

新聞、テレビ、ラジオなどマスメディアによって媒介されながら、相互作用をおこなう不特定多数の人々で、彼らの意見や態度が世論を形成する。特徴は、空間に散在しており、間接的相互作用が中心。公衆の捕らえ方は2つあり、ひとつはそれをメディアに操られる受動的な存在として捕らえること。反対に、マスメディアに働きかける存在としても捉えることができる。

 

▲大衆

タルドの言う公衆に当たる。マスメディアに操られる不特定多数の人々である。大衆と言う概念は、ネガティブな意味を込められて使う。つまり現代社会は大衆社会といえる。また、以上4つの概念をあげたが、これらを一括して集団と区別する場合は未組織集合体という。

 

●集団のメカニズム①

手段が上手く機能して、成員同士が協力して活動し、目的が達成される。その結果、成員の間に信頼感や連帯感が生まれてくる。そうした感情の絆や結合の強さは、集団凝集性といわれる。これを端的に表すのは、「われわれ」というわれわれ意識、共属意識であり、これが自分たちを集団の一部としての知覚を促進させる。W・サムナーは愛知着の対象になる集団を内集団、嫌悪や敵意が向けられる集団を外集団とよんだ。

 

●集団のメカニズム②

集団と集団の関係は、友好的⇔対立的のどちらかである。友好的な場合は、境界線が曖昧なため、あまり意識されない。そのため、内・外集団といういしきも顕在化しない。反対に、対立的な場合、境界は明確であり、内・外集団も顕在化されやすい。問題なことに、対立的なほうが、集団凝集性が高まるのである。また、集団凝集性を高めるためには、内集団のなかに外集団を作ること、つまりスケープゴートを作ることにある。最悪、スケープゴートは暴力的な被害にあい、死に至る。連帯感の感情はコインのように表裏一体なのだ。

 

●集団のメカニズム③

ものすごく熱心な人は、その集団の活動に全身全霊を投入して、それが生きる意味の全てといった感じになる。この人を熱心党という。出現しやすいのは、小規模の政治集団、社会運動集団、宗教集団などである。なぜ、こんなにも熱心なのか。それは、アイデンティティーの根幹に関わる価値が手段全体の価値観と不可分にあるからである。また彼らに支配される集団全体が以上に非寛容になり、自分たちと異質な価値観を持つ集団を攻撃する一方、自分たちの目に非熱心と映るものに対しては、例え同士であれ、容赦なく攻撃する傾向がある。

 

●集団の諸類型

つまり、自然発生的な集団を基礎集団、人為的な傾向を有する集団を機能集団という。

▲F・テンニースが考えたゲイマンシャフト-ゲゼルシャフトという対概念。

・ゲイマンシャフト(民族・家族・教会)⇔ゲゼルシャフト(会社・国家・大都市)

他者と感情的に結合して共同生活を送ろうとする生得的な本質意思から生じる集団

⇔何らかの目的を達成するために共同で生活しようとする理性的な選択意思から生じる集団

 

▲C・クーリーの第一次集団-第二次集団という対概念。

・第一次集団(家族・遊び仲間・近隣社会)⇔第二次集団(国家・労組・企業・政党)

フェイストゥフェイスの直接的な相互作用をかわし、親密な共同している小集団

⇔何らかの目的を達成するために組織され、間接的な相互作用を特徴とする集団。

 

▲R・マッキーバーのコミュニティ-アソシエーションの対概念。

・コミュニティ⇔アソシエーション

同じところに住み、同じようなライフスタイルをもち、同じ集団に属しているという感情を共有している集団。集団、近隣社会、村落、都市と同心円的に広がる。

⇔人々が個別的な関心を満たすために人為的に作り出す集団で、企業や様々な結社、学校、集団宗教、そして国家がこれにあたる。

 

高田保馬の基礎社会-派生社会の対概念。

・基礎社会⇔派生社会

地縁や血縁と言う自然に基づく結合

⇔村落・都市・国家などで、文化的な関心や利害の共通性がある。

●官僚制的組織①

最も大規模な機能集団は官僚機構である。M・ウェーバー

① すべての組織活動が、合理的・体系的に制定された規則に従う

→生じる不測の事を想定し、それに対応する。罰則も設ける。

② 権威と権限がヒエラルキーをなし、明確な階級制度をもとに命令体系が存在する

ヒエラルキーにより、明確な意思決定を迅速に行う。

③ 業務が専門的に分化し、専門的な知識や技術に応じて各人の配置が決められている

→業務の細分化は、各所にプロを配置できる

④ 行使の峻別がもとめられる

→業務の場を区別することにより、支障をきたす要因を排除できる

⑤ 文書形式によるコミュニケーションが重視される

→曖昧さを回避し、責任の所在を明確化する

 

官僚機構は、広大な領土を有し、膨大な業務を抱え込んだ国家の必須の条件だった。現代社会を全面的官僚制度とウェーバーは呼んだ。

 

●官僚制的組織②

機能よく業務を遂行するための組織が、組織が機能の障害になる場合のことを逆機能という。

▲規則万能主義

官僚的組織の構成員は規則に従って行為するように訓練される。反対に、規則に書かれていること以外は、行為しないのである。組織目的の達成よりも、その集団たる規則への服従そのものが行為の目標であるかのような錯覚に陥る。

 

▲階級性のデメリット

末端は、自由裁量も少なく、権限もない。しかし、一番市民やクライアントと接するのは末端である。そのため、業務の規則から外れていれば、自分では対応の仕方を決定できず、上司に判断をあおるなど時間がかかる。

 

▲分業制が招くセクショナリズム

どの部署が対応すればよいかが支持されていない場合、問題解決の新しいルールを作るところから始めなければいけない。自分の利益になる場合は、引っ張り合いになり、利益にならない場合は、たらいまわしが起こる。これをセクショナリズムという。

 

▲成員のロボット化

私情をはさまずに、職務に専念する結果、官僚制的組織の成員はまるで能面ロボットのようになる。

 

▲事務手続きの煩雑化

文書コミュニケーションが徹底される結果、瑣末な事柄でさえ、いちいち書類を書き、上司の承認をえなければいけない。

 

●官僚制的組織③

このような官僚制の逆機能は、官公庁だけでなく、病院、企業、大学など大規模化した組織には広く見られる問題である。

 

▲人間の化石化

専門分化の結果、人間がスペシャリスト=専門バカになることは避けられない。

職場では感情を抑えながら仕事につくため、豊かさがなくなり、人間性を失う。

命令を待つだけの規則や上司に従うための、きわめて受動的なパーソナリティができあがる。そして、自由を制約されることによって、責任感を喪失する。責任は規則にあると勘違いするようになる。本来は、組織や規則に従って行為しなければいけないにしても、組織に所属するのは自由意志である。これをまとめて、ウェーバーは人間の化石化(精神なき専門人、心情なき享楽人)と呼んだ。

 

●インフォーマルグル-プ

人は、利益は大きくなるように、損失は少なくなるように行動する。こうした見方を功利主義的人間観という。功利主義的な発想をくつがえす人間関係を労働者集団の中から見つけ出したのである。これがホーソン実験である。当初、照明の強弱が作業効率と相関があると考えられたが、そうではなかった。作業効率上昇の理由は、「実験に選ばれて、参加している動機」という心理的な要因(>物理的・経済的条件)であった。

 

▲インフォーマルグル-プ

職場の人間関係が労働者たちの感情、ひいては労働意欲に大きな影響を与える。メイヨ―たちは、工場を直接的に観察し続けた。

① 自然発生的に各自の定位置があること

② 気風の異なる仲間集団が存在していること

つまり、会社が公式に定めている組織とはべつに、非公式の仲間集団ができあがり、その成員は会社の基準ではなく、仲間集団の基準に合して行動している。自然発生してくる非公式の小集団は、インフォーマルグル-プと呼ばれる。

 

▲組織の効率をあげるには

効率を重視して公式な集団が組織されるのに対し、インフォーマルグル-プは気風という非合理的な要因に基づきできあがる。また、後者のほうに人間の感情や行動を規定する力は強い。インフォーマルグル-プのコントロールが重要である。

 

●構造と機能

たとえば、家族は地位により構造化されている。それぞれの地位を要素とするならば、家族はそうした要素からなるシステムとみなせる。これを家族構造と呼ぶわけである。また、その地位にある付随する役割行為を行うことで、他の要素に作用を及ぼし、システム全体も各要素に影響を与える。機能とは、こうした要素間、システムから要素、要素からシステムへの作用のことである。

社会を一つのシステムとみると、要素は個人、集団、制度などが考えられる。そして、これを家族構造と同様に、個人から集団、集団から制度、制度から個人と作用し合っている。これを社会構造という。

 

●機能の分類

機能はプラスとマイナスに分類できる。

順機能:個人や社会にとって役に立つようなプラスの機能

逆機能:個人や社会にとって、障害となるマイナスの機能

たとえば、新しい空港の建設は、社会全体には順機能であり、関連業者にも順機能であるが、騒音という点では、住民にとっては逆機能である。

 

顕在機能:行為の当事者にその存在が知られている機能

潜在機能:当事者あるいは誰にも知られていない機能

たとえば、空港の建設は、誰でも知っているので、顕在機能である。もし「ドラえもん」が、いじめのモデルになるのであれば、それは「潜在機能」である。社会学の役割として潜在機能を発見することである。また、順・逆と顕在・潜在を組み合わせると4象限が出来上がる。

 

AGIL T・パーソンズ

社会や集団を維持していくための条件がある。パーソンズはそれを、機能要件と呼び、AGILで表現した。

 

▲A(Adaption):適応

システムを維持・存続させてゆくためには、必要な資源を外界(自然や他の社会システム)から調達しつつ、システムを外界に適応していくための下位システム。経済領域。

 

▲G(Goal-attainment):目標達成

Aによって調達された資源を適切に分配・管理・動員して、システム全体の目標を達成するための下位システム。政治の領域。

 

▲I(Integration):統合

システム内部の要素が不規則な動きをすることを制御し、システム全体を円滑に機能させるための下位システム。統制、社会的連帯の領域。

 

▲L(Latency):潜在性

「パターン維持と緊張処理」とも呼ばれ、システムを維持していくために必要な安定した行為パターンへの動機づけを高め、一方システム内部の緊張を緩和・放出するための下位システム。分化の領域。

 

たとえば大学では、財務・入試・就職・広報担当の部局はA、教授会・教務担当の部局はG、理事会や評議会はI、クラブや福利厚生はLである。このように機能が細かく分化していく現象を機能分化と呼ぶ。

 

●闘争と競争

常に集団の関係は互いの利害や価値観が共存できず、2つにわかれる。多くの人間には闘争本能があって、上位に立ちたい、負けたくないという欲求がある。

 

調和的社会観:社会が持ちつ持たれつの関係で成り立っているという考え方

闘争的社会観:社会秩序は、実は強者が弱者を組み敷く状態にすぎないという考え方

闘争:対面型の対立関係のこと。格闘技、サッカー、テニスなど的に勝とうとするもの。

競争:競泳、体操など、直接的に相手を妨害することなく、並行型の関係。

 

●権力と支配

権力と服従という関係。他者を支配する力を権力、M・ウェーバーによると「他者の意思を排除して、しこの意思を貫徹するいっさいの可能性」と定義した。

 

▲権力の4類型

例として、近代の学校は、先生の権力が衰退していく過程でもあった。

①自発的服従:最も安定した支配、つまり被支配者が支配を当然とする

②説得による支配:なぜ支配に服従しなければいけないのかを被支配者に説得し、層上で了承がなされる

③威嚇による支配:服従しなければ、金銭や社会的地位を失わせたり、暴力を行使することによる支配

④暴力による支配:権力者は暴力を行使するか、暴力を用意しなければならず、力関係が逆転すれば、立場も逆転する不安定な支配

 

●権力と権威

英語で権力はPower、権威はAuthorityである。国民から信頼されず、暴力で支配する専制君主は、権力はあるが、権威があるとは言えない。一方、国民から信頼させ、どんな提案でも、国民を自発的に従わせる国王は、権威、権力がともにあると言える。

つまり、自発的、盲目的に服従を引き出す力が権威である。この源泉は、暗黙の社会的認証、魅力、見識、技術、特異な能力であれば、家柄、肩書き、職業などもある。

 

●支配の3類型

支配と服従の関係が安定して継続していると、そこには何らかの権威が発生し、支配者と被支配者もその関係が正当なものと感じるようなになる。これを正当性信念とよび、権威の根拠を正統的根拠という。M・ウェーバーは正当性根拠を3つに分類。

①伝統的支配

「過去もそうだったから、今もそうする」とい伝統を神聖なものとしてみる意識から、自発的に支配されるタイプ。この忠誠心を恭順という。たとえば、家父長制、地域支配、男性支配、封建的主従関係など

②カリスマ支配

カリスマとは、特定の人物に宿る畏怖すべき資質のこと。

人々がカリスマ的人物に宿る畏怖の念を持って服従することをカリスマ的支配という。ナポレオンのような軍事的英雄、レーニンのような革命家、ヒトラーのような煽動家などは典型。この関係にいては、情緒的きずな、がある。

③合法的支配

「そういう規則になっているから」と規則に正当性が担保されていることを自明視する意識に基づく支配。法律や規則上そうなっているから、服従するため、その関係において情緒的なきずなは存在しない。

 

●階級論

資源は不平等に配分されている、こうした資源の不平等さを分析するための概念は階級である。

▲貧富の差の源泉は?

マルクスは、配分の不平等が社会に最も大きな影響を与えるのは生産手段と考えた。社会の土台は「生産力」にあり、生産手段は生産力の中核をなすものである。資本主義では、あらゆるものが商品化され、貨幣と交換されるので、生産手段を有するには、資本を持たなければいけない。つまり、資本を所有しないものは、資本を所有するものが、資本家の生産手段の一部となり、労働力を提供し、その対価に賃金を受け取る。

労働者はその労働によって、労働力を維持すのに必要以上に支払われることのない賃金以上の価値を生み出す。これを余剰価値という。具体的には、 どのような社会でも,経済生活に必要な財(食料,衣服のような生活必需品や,これらを生産するのに使用される原料,道具など)の生産に直接たずさわる人々は,自分たちに必要な量はもちろんのこと,これ以上の生産物を生産する。

資本家は労働者からこの余剰価値を搾取するわけで、結果的に資本家はますます富み、労働者は富むことはない。これが階級関係を固定化する。資本家階級は、資本主義における支配階級、労働者階級は被支配者階級である。両者の階級闘争が社会構造の骨格を形成する。

 

階級闘争の制度化

階級闘争:労働の現場で、あるいは政治や文化の場で、支配者を倒し、権力を奪取すること。

対自階級:みずからの階級的位置を自覚して階級闘争に進もうとする状態。

即自階級:自覚していない状態

マルクスは、労働者階級と資本家階級との革命的な階級闘争により無階級社会が到来すると考えた。しかし近代はそうなっていない。R・ダーレンドルフは、階級闘争の制度化という理論で説明。産業社会の成熟とともに、労働者、資本家いずれの階級でも、政党、労組、経営者団体のような階級全体の利益を説明する利益を調整する組織が形成され、利害関係を調節するためである。

 

▲中間階級の増加 

産業社会の発展の結果、工場労働者の減少と、細かい職階制が設けられた事務労働に従事する中間階級の圧倒的な増加である。階級闘争よりも、個人的な階級上昇をめざすため、階級闘争は減じた。

 

●階層の概念

階層とは、資産、所得、社会的威信、権力、学歴など、資源配分の不平等により生まれる序列を何らかの方法で区分けした時に同じ区分に入る人びとの集合のこと。社会は地層のように、幾つかの階層が重なる構造に成っているわけである。

 

●社会移動

K・デービスとW・ムーアは、不平等は社会に好ましくないどころか、順機能的であると指摘した。社会成層のなかで、上位を占め、所得や威信が高い人は、社会のなかでより重要度の高い仕事をしている。そうした仕事をこなすためには、より多くの努力をする必要があるから、それに見合うだけの高い報酬が与えられる。その結果、人びとはより高い報酬を目指して努力することで、社会は活性化する。人がそうして、階層を移動していくことを社会移動という。不平等が存在するからこそ、人びとが上昇的な社会移動へ動機付けられ、社会全体の機能が高まる。

 

●地位の一貫性と非一貫性

社会央像のとりわけ重要なのは、職業、資産、所得、学歴、人種と言った指標であるが、ある指標で高い階層にいる人が、他の多くの指標でも高い階層にいることを地位の一貫性という。指標ごとに異なる地位にいることを地位の非一貫性という。地位の一貫性が極端に強いのは、身分社会や固定した階級社会で、社会は少数の持てる者と持たざる者に両極化し、ひとたび階級闘争が起これば激しいものと成る。しかし、地位の非一貫性であれば、社会階層を平準化する力として働き、階級闘争を生じにくくする。また、上位の階層に自分の全てを合わせようとすることを地位平衡化仮説である。

 

●産業社会論①

現代社会は高度な産業化により、特徴付けられる産業社会である。産業化とは、科学技術の発展をバネにして、農業中心の社会から工業中心の社会へ移行することをいう。

第一波は農業革命であり、第二波が産業革命である。第三波はIT革命である。

資本主義社会と産業社会の関係はどうなのだろうか。全体社会をみる目安として、工業を中心として諸産業がどのくらい発展しているのかという点を重視し、生産関係を第二義的なものとする。また、資本主義は現代社会のキーシステムである。

 

●産業社会論②

産業社会の大きな特徴は、社会全体が出力を最大限高めあえるように機能分化し、その結果、高い生産力をもたらされる点である。自然発生的あるいは、人為的にシステムが変化して、構造を再編成して機能を回復し、さらに成長を続けようとする対からが働く。これを自己組織性という。

 

▲機能分化の進展

機能を特定された機能集団が無数に生まれることで、それまで多くの機能を果たしてきた基礎集団は機能を縮小していく。地域社会、親族、家族の諸機能の低下はその典型である。また、全面的官僚化やフォードシステムなどのスペシャリスト化はその所産である。

 

▲産業化がもたらすこと

①家族と経営の分離

近代以前、人口の大半は農業に従事して自給自足に暮らしてきた。職人や商人はたいてい自営業者で、家計と経営は未分離であった。しかし、産業化により、多くの農民は離農し、経営は家計から切り離され、離農した者は雇われ者になった。

都市化

自給自足的な村落共同体のいわば補完的な機能を果たすものに過ぎない。だが、ひとたび産業化が始まると、有力な企業のある地域に人口は移動して人口の集積は生じ、それは新たな企業の立地条件と成る結果、膨大な人口の集積が起こる。

③科学技術の制度化

産業化の基礎にあるのは、技術の発展である。その結果、富の分配の不平等ということはあるとしても、全体として物質的な生活水準は大きく上昇する。また、技術の進歩が、国の死命を決するので、ますます科学技術の促進はすすむ。

 

●産業社会論③

産業化社会がもたらす問題とは何か。

①環境破壊と資源の枯渇

産業社会の原則は、大量生産=大量消費である。そのためには、自然から可能な限り資源を奪い、使用後はポイ捨てするということである。つまり、地下から資源を取り出し、地上に形を変えてごみを堆積させると言うことである。環境問題の深刻化である。

②南北問題

アフリカ、南アメリカ、南アジアなどの開発途上国の多くは、人口の爆発的な増加、地球の温暖化、伝染病の蔓延と問題は山積みであり、先進国から不可能な債務を抱えており、破綻状態にある。これが続けば、格差は拡大する。

アノミー

企業がマスメディアを通して争いって消費への欲望が喚起することで市場が拡大するというのが産業社会の基本的なメカニズムである。その結果、欲望は限りなく膨張するが、それを満たすべき手段には、資本主義であるから、各人のあいだにはおおきな格差があるり、手段の不足した者がその欲望を満たそうとすれば、どうしても犯罪が起こる。

④快楽主義・禁欲主義

高度に産業化した社会では、日常生活の多くの場面で欲求を俗事的に満足させることが可能になり、その結果、快楽主義的な生活態度が蔓延する。禁欲主義を維持するためには、それらに対処する訓練が必要であり、現代人は、禁欲快楽主義のパラドックスに活きている。

⑤科学技術

核テクノロジーや遺伝子技術は、人間がコントロール出来ない段階に到達しつつある。

 

●市民社会論

▲市民の起源

ヨーロッパ中世の都市にあっては、住民全てが法的に認められた特権層だけが市民であった。彼らは、それ以外のメンバーに対しての支配層であり、かららの意思が都市の意思となった。国民国家の形成段階になると、市民としての権利をすべての身分を開放するとともに、都市の垣根を越えて、国民国家という広がりをもつ新しい市民社会が構想されるようになった。近代市民社会である。市民社会は政治、経済、文化という3つから成り立つ。

 

▲市民の変化と現代的意識

公共の問題に積極的に関わるはずの市民=公衆はG・タルドの指摘したような公衆、つまり受動的で無関心な大衆へと変化し、市民社会は大衆社会へと変化した。また、産業化の過程で、政治的に平等な市民は、経済的には富める資本家階級と貧しい労働者階級に分解し、階級社会に変化する。

 

大衆社会論①

社会を構成する民衆が自立的で能動的な市民から成り立っていると見るとき、その民衆を公衆と呼ぶが、他律的で受動的な民衆と見るとき、大衆と呼ぶ。大衆社会とは、大衆が多数を占め、その動向によって方向性が決定されるような社会を意味する。

オルテガの大衆観

①非常に均一的・画一的で突出した個性をもたない

②何事においても他律的で、他人や世論に同調し、あるいは自分に同調を求める「烏合の衆」である

③理想や使命感や向上心など無縁の存在で、自分の現状に自己満足している

④文明の恩恵が自動的に享受できるのを当たり前と思っており、文明の恩恵や伝統に対する畏敬や感謝の念、また未来に対する責任感を欠いた「忘恩の徒」である。

⑤自分たちが一番偉いと思い、じぶんたちのわがまま押しとうそうとする

⑥精神的などのかけらもなく、物質的快楽を求める『動物』である

⑦自分たちのあり方を、何が何でも社会全体に押し付けようとする「野蛮人」である

→エリートたるべき社会の指導的階層さえもが大衆化していることが、一番の問題と考えた。

 

大衆社会のもたらしたもの

政治:普通選挙制度により、これまでの身分・所得・性による制限の撤廃。大衆の意見が政治に反映されるようになる大衆デモクラシーが登場した。

経済:大量生産=大量消費システムを可能にし、大衆消費社会が到来。大衆と生産者を媒介するマスメディアが登場し、マスコミュニケーションの発達。

 

大衆社会論②

当然、不見識な政治家が量産され、数にまかせて不見識が国政を支配するようになる衆愚政治の出現である。このように大衆デモクラシーはいつでも衆愚政治におちる危険がある。

▲大衆は操作されやすい

産業化と共に、都市化が進むと、よきにつけあしきにつけ人間たちをつなぎとめていた強い絆が親族や近隣社会から失われ、人間関係が過疎化し、ひとはバラバラな分子となり、慢性的なよるべきなさに悩まされるようになる。経済状況を決定する市場は常に流動的であり、おまけに産業社会ではアノミーと社会変動がつねに常態化しているので、このような状況を人間の原子化という。

原子化した大衆は、全体社会のなかでの自分の位置を推し量り、行動や思考のモデルとするため、マスメディアに依存するようになる。権力の維持や奪取のために、さまざまなシンボルを利用し、大衆の情動の部分に訴えかけ、それを操作しようとする。大衆操作という。原子化した大衆は、かつてないほどに大きくなった全体社会や国家権力や市場に直接対峙せざるをえず、そこから生まれる不安のために、容易に操作されるようになる。ナチスが登場した大衆社会状況は、最も民主的と言われたワイマール共和国で生まれたものであり、民主政治は容易に衆愚政治に変じ、衆愚政治は容易に恐怖政治に転じることを物語っている。

 

●エリートと大衆

C・W・ミルズは、現代社会は、一握りのエリートが牛耳る階級社会に過ぎないと主張。まず、労組の幹部を分析し、彼らは組合組織の中で、出世して高い収入を得ることだけを考えており、労働者階級を代表して資本家階級と戦うどころか、資本家と妥協を繰り返しながら、労働する側に立っていることを明らかにした。そして、新中間層すなわちホワイトカラーを分析し、彼らの主要な関心は高い収入を得るための出世と余暇生活をいかに楽しむかにあった。そのほかにも、大富豪、有名人、大企業のオーナーや経営者たちが個人的なつながりを持つなどして、彼らが全体として一つの権力を形成していた。

社会を動かす権力層をパワーエリートという。民主的に見えながら、労働者階級は組合幹部という中間管理者に操作され、ホワイトカラー層は、政治に無関心で私的な利害と余暇活動にのみ腐心する「陽気なロボット」と化し、パワーエリートが私的利害で社会を動かしている。

▲エリートは悪か

エリートには固有の存在意義があるという立場のことをエリート主義という。

ミルズのエリート概念は、ノーブレス・オブリージュという観念を引き継いでいる。

①突出した個性がある

②烏合の衆と鳴ることを嫌い、自律行動する

③工場や使命感に燃え、常に理想に向かって自らを引き上げようとする

④文型の恩恵に感謝し、伝統への畏敬の念、未来への責任を持つ

⑤自分の私的利害よりも、公共の利益を優先

⑥高い精神性と品位が備わっている

⑦社会を束ねて、良い方向へ導く責任があると感じている

 

●文化の民主化アウラの消滅

かつては上流階級の下見られていた文化を、下流階級が享受できるようになることを大衆化という。この状況をベンヤミンは、「アウラの消失」と指摘した。特別な価値ありとされる書物は限定されたごく少数の人しか見ることができなかった。一生に一回しか出会うことができないという「アウラ」を感じなくなるということ。また、大衆文化の進行は、大衆が大勢いるので、大衆の趣向が反映され、高級文化は衰退することになる。

 

●国家論

一定の範囲の領土と主権を有し、その朗度内の全ての集団や組織の上位にあって、それらを統治する機構が国家である。

 

▲近代国家の形成

封建時代、各地に割拠し、独立した主権を持つ封建領域の緩やかな連合であった。ところが、軍事力や経済力を備えたものが統治するようになり、絶対主義国家が誕生した。しかし、絶対主義国家は市民革命により解体され、市民社会と国家という構図が形成される。近隣の国は、絶対主義者に脅かされるため、民族主義ナショナリズムに走りがちになる。ナショナリズムが生まれることによって、あたかも長い歴史があったかのような幻想を抱き、マスメディアはそれを流布させることで、このような意識は共有されることになる。B・アンバーソンはこのような状態を「想像の共同体」とよんだ。これが基礎になっている国を国民国家という。

 

●民族・人種・国家

人種は、身体の遺伝子的な特徴で人類を分類するための概念である。民族は、言語や価値観、行動様式が共通している集団や集合をいう。民族問題は21世紀の問題である。多数派民族が少数派への差別や偏見の問題などがそうである。学校教育や言語統制を通して、多数派民族の文化を少数民族に強制する同化政策をとるなど問題なのである。

 

●世界システム論

グローバル化が進み、ヒト・カネ・モノが世界中を行ききするようになった。世界全体を社会全体と見ようとする見方が出てくる。I・ウォーラースティンの世界システムという考え方。彼によれば、世界システムは中核、半辺境、辺境の3つからなる。中核地域は辺境地域を従属させて搾取し、半辺境地域はその中間にある。

 

中核:西欧や日本 辺境:アフリカや南アジア

中核の中でも、最も中核的な位置を占めるのがアメリカであり、その国をヘゲモニー国家という。

 

▲世界システムの形成

このシステムはまず、モノカルチャー(特定の資源のみ生産させること)を強制し、辺境化させることから始まる。世界的分業の始まりである。中核地域=西欧はモノカルチャーからあがる収益を収奪し、先進的な産業に添加して潤い、辺境は益を収奪されて貧困化するばかりか、生活の自足性を破壊されて中核地域に依存せざるようになる。

植民地化は辺境化の端的な例である。

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